どうも、大牟田ひとめぐり編集長の阿部です。
大牟田で毎年開催されているおおむた「大蛇山」まつり。
僕は大牟田に移住してきて今年で3年目になります。
1年目は警備などで関わり、間近で見る大蛇の迫力に圧倒されたことを今でも覚えています。
2年目の去年は様々な山の制作現場を取材させていただき、多くの方のお話を通して、より大蛇山の魅力に惹かれていきました。
これまでの2年間の経験を通して、
「1つの山の大蛇制作を追っていきたい」
と思うようになりました。
そこで今年は1番山である「本宮彌劔神社」さんのご協力の元、約3ヶ月に渡る大蛇制作を取材させていただきました。
取材にご協力頂きました皆様に感謝申し上げます。
この記事は僕が取材してこれまで記事にした、まとめ記事になります。
僕が取材を通して見た、約3ヶ月に渡る大蛇制作をご紹介します。
目次
竹の切り出し、安全祈願祭の様子(4月下旬)
大蛇制作の取材は、大蛇に使われる竹の切り出しから始まりました。
安全祈願祭の様子も合わせてご覧ください。
制作に使用される竹を切り出し
4月下旬、大牟田のとある山奥。
大蛇の制作に使用される竹の切り出しを行われていました。
山に向かって、お酒と塩でお祓い。
清める、竹を取らせてもらうという意味合いを込めていらっしゃいます。
みなさんで力を合わせて竹を伐採。
神社の法被を着て、力強く作業に取り組まれています。
竹を切り出して、運び出していきます。
指示を飛ばされる古賀会長。
真竹を15本〜20本程度運び出します。
芯棒に使う孟宗竹
大蛇山の芯棒に使用される孟宗竹を切りに場所を変えます。
なかなか急な斜面。
切り出して、みなさんで運び出されます。
当日切り出された竹。
これに少しずつ息を吹き込んでいきます。
安全祈願祭
大蛇事始め並びに安全祈願祭。
大蛇山を製作するにあたり、山から切り出した竹などの材料と、製作に使う工具をお清めし、製作の安全を祈願するために行われます。
制作開始
今年の大蛇山の制作も始まりました。
切り出した竹を割いていきます。
割いた竹を整えていきます。
大蛇山製作に必要な「竹」「わら」の確保に苦労した時もあったそうです。
古賀会長をはじめとした、神社の関係者の方々の繋がりで現在も確保できています。
今後の世代にまつりを継承していく上で、この材料の確保も重要なこと。
わらは軽トラックの荷台いっぱいの量が必要(!)
昔はわらの確保に困って、畳屋に無理を言って調達したこともあるそうです。
今は若い世代にも大蛇製作を任せられるようになってきましたが、昔は古賀会長がいないと製作できない時期もあったそうです。
制作取材第一弾(5月中旬)
本格的に始まった大蛇制作を取材。
迫力ある大蛇はどのように作られていくのでしょうか。
下準備となるわらをむく作業
竹と並んで大蛇の制作に欠かせない「わら」
竹をわらで肉付けし、大蛇の顎などを制作していきます。
このようにわらをむいていきます。
少しお手伝いをさせていただきましたが、
どこまでむいていいのかわからず、一緒に作業している方よりはるかに作業が遅かったです。。。
このわらをむく作業をしておかないと、顎を肉付けする際に、形が整えることができないそうです。
さらに、雨が続くと作業ができなくなるので、梅雨に入る前にこの作業を終わらせることが大切です。
わらは軽トラックの荷台いっぱいの量が必要(!)になります。
いったいどれくらいのわらの束を作らないといけないのでしょうか。。。
みなさんの作業量に頭が下がります。
残さないかっこよさ
制作に関わっていらっしゃる古賀さんにお話をお聞きしました。
大蛇山はお祭りが終わった当日に壊します。
それについてわかりやすい記事があるので、ご紹介します。
大蛇山は祇園の祭りなんですが、祇園のお祭りは作り置きをしない、最後は華々しく散ってしまうというのがセオリーとしてあってですね、大蛇山もその例外ではありません。
数ヶ月掛かって作った大蛇を一瞬のうちに壊してしまいます。
それぞれ神社、神社によって壊し方が違って、子供に登らせて壊してしまう、あるいは、燃やしてしまう、いろんな散華の仕方があるんですけど、これも優れた日本的精神文化だと思います。
一生懸命作ったものを一瞬にして壊し清めてしまうというこの精神文化もぜひ見に来ていただきたいと思っております。
古賀さんも最初は二ヶ月頑張って作ったのに、燃やしてしまうことがショックだったそうです。
でも制作を続けていくうちに、残さないかっこよさもあるなと実感されるように。
本当に多くの方々が繋いで、伝統を守っています。
制作取材第二弾(6月中旬)
大蛇は約一ヶ月ほどで竹組ができ、それから新聞紙、油紙、和紙の順に貼っていき、色を塗っていきます。
この取材では、竹組みが完成している段階でした。
竹組みが完成
これからヒゲを作っていくとのこと。
口は5mほど藁を繋げて曲げて制作されるそうです。
耳、角と組み合わせて、最後に目玉をはめます。
こちらは大蛇の尻尾にお札を貼る作業。
今月中にはほぼ完成となる大蛇。
これからどのように作られていくか楽しみです。
制作取材第三弾(6月下旬)
まつり当日まで一ヶ月を切り、色塗りが進行していよいよ大蛇らしさが出てきています。
色塗りが進行中
見られることの少ない、上顎の中もしっかり塗装されています。
こちらでは、髭を藁で制作されています。
髭の長さは3メートルほどの長さに!
こちらは目を入れる土台となる所。
毎日、遅くまで作業されています。
制作取材第四弾(7月上旬)
大蛇の上の部分ができ、牙や髭などの下の部分の制作の様子をご紹介。
大蛇の上の部分は完成間近
今回の制作の取材で、大蛇の上の部分は完成に近づいてきていました。
角を取り付けるために、大蛇の中に入って作業されます。
大人が1人入るのがやっとのスペースで作業に取り組まれます。
上に乗った方に指示を出す古賀会長。
大蛇の上の部分がだいぶ出来上がってきています。
牙の角度など、細かい作業にも妥協は一切ありません。
合わせて髭の作成も行われていました。
その後も遅くまで作業は続けられていました。
制作取材第五弾(7月中旬)
お祭り一週間に迫った大蛇山の制作現場の様子をご紹介します。
大蛇山の制作に関わられている方々の想いも聞いてきました。
夏を感じる風景
大蛇山の制作期間中何度もお伺いした「本宮彌劔神社」さん。
夕暮れに映える倉庫。
倉庫の中にいる大蛇。
外で制作されている関係者の方々。
何度見せていただいても、飽きることのない風景。
訪れたこの日は子どもたちがお囃子の練習をしていました。
お囃子の音、夏の夕暮れの匂い。
自然と胸が高まります。
過去最速で大蛇が完成
今年はイオンさんの大蛇制作などもあり、早め早めで制作に取り組んだ結果、過去最速で大蛇ができたとのことでした。
これから手を加えて、祭りの3日前程度に完成します。
一足先に完成している小大蛇。
さらに山車を磨いて、こちらもお祭り当日に向けて準備されます。
看板や提灯などの準備もすでにされています。
100周年の1番山
大蛇の制作に関わっていらっしゃる古賀さんにお話をお伺いしました。
今年の大蛇の制作について聞いてみました。
今年は会長の大蛇の引き継ぎながらも、自分たちの色を出して制作しました。
顎の開き具合や牙なども少し変化させています。
会長が制作した大蛇は、今年で20体目。
NHKさんの取材の時に、今年の大蛇は今までで一番出来が良いと言っていたのが嬉しかったです。
なかなか褒めることが少ない人なので。
古賀会長は、お話をお伺いした古賀さんのお父さんでもあります。
普段褒めることが少ない古賀会長が話された「今までで一番出来がいい。」
これは、制作に関わる古賀さんにとって嬉しい言葉。
お話を聞いていて、話される表情からもそれは伝わってくるものでした。
お祭りを一週間前に控えた今、どのような心境なのでしょうか。
今年は100周年の1番山ということで、例年より気合いが入ります。
もともとは町としての神事。
外に発信していくことと合わせて、そこをもっと大事にしていきたいです。
記念すべき大牟田市制100周年の1番山。
よりお祭りに期待感が増します。
まとめ
取材をさせていただく中で、感じた「伝統を繋いでいく」大変さ。
人の暮らしが変わっていく中で、祭り事への関わり方も変わっていっています。
昔のまま伝統を守っていくことが難しい時代。
それでも何とか守り抜こうとする人がいて、繋げようとする人がいることで大蛇山は続いています。
当たり前のように毎年やってくるは大蛇山は、当たり前にできていることじゃなかったんです。
おおむた「大蛇山」まつり。
ぜひあなたの目で確かめにきてください。
http://www.omuta-daijayama.com/
去年取材させていただいた制作現場