大牟田市動物園がエンリッチメント大賞2019で大賞『インパクト賞』を受賞!

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こんにちは、ライターの幸森です。

動物福祉の取り組みで全国的に知られる大牟田市動物園が、エンリッチメント大賞2019で見事大賞を受賞したそうです!

どんな取り組みが評価されたのか、そこに大牟田市動物園はどんなメッセージを込めているのかをご紹介します。

10月19日に開催される関連イベントについても併せてご案内しますので、ぜひ動物園へ出かけてみてくださいね。

エンリッチメント大賞とは

今年で18回目の実施となるエンリッチメント大賞は、下記のふたつを目的にした取り組みです。

  1. 環境エンリッチメントに取り組む動物園や飼育担当者を応援すること
  2. 来園者である市民がエンリッチメントを正しく理解・評価することにより、市民と動物園をつなぎ動物園に対する市民の意識を高めること

※環境エンリッチメント……環境エンリッチメント(environmental enrichment)とは、「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」のことを指します。

大牟田市動物園が大賞に選ばれたのは

大牟田市動物園は2016年にも園全体で幅広くエンリッチメントを取り入れていることが評価されて大賞を受賞しました。

今年はというと、外部団体のWild meǽt Zooや九州大学と協力して行われている、“有害駆除された鹿や猪を屠体(とたい)給餌に用いる画期的で新規性の高い取り組み”が評価されたとのこと。

※Wild meǽt Zooは、日本の里山と動物園をつなぐ活動をしている団体です。農林水産業を守るために間引かれた、鹿や猪を用いて動物園で飼育されている動物のQOLを高める活動をしています。公式サイト

動物園の肉食動物たちは普段小さくカットされた餌を与えられていますが、採食時間の短さや行動レパートリーの少なさが問題視されています。

野生下では通常動物自身が獲物を捕え、牙で毛皮を切り裂き、肉を剥ぎ、骨を砕いて採食しているはずで、これらは肉食動物にとってはとても大切な行動。

それが封じられることは時に大きなストレスとなってしまうこともあるのだとか。

そこで本来の行動に近付くよう骨や毛皮がついたままの屠体を給餌すると、行動が多様化し採食時間も延長されるそうです。

さらには常同行動の減少や休息時間の増加などが見られ、より野生下に近い行動時間配分に近づくとも言われています。

大牟田市動物園では飼育動物へのエンリッチメントとして行う屠体給餌に、有害駆除された鹿や猪を用いています。

福岡県では鹿や猪の増加による農作物への被害が全国で最も深刻であると言われていて、多くの動物が駆除されているそうです。

駆除された個体のほとんどは廃棄されていて、大牟田市動物園で行われている屠体給餌はその命を少しでも無駄にしないための取り組みでもあるのです。

しかし、有害駆除された動物なら何でもいいわけではありません。

鉛中毒を防ぐため、銃を使用せずに罠で捕獲されたものに限られる他、野生下の形をなるべく保った状態で与えるために細かな処理をし、更に感染症やウィルス感染等を防ぐための処理も欠かさないそうです。

※画像引用元:大牟田市動物園公式ブログ

また、実際に給餌する際は動物園の職員や九州大学教員らによって、取り組みの背景や目的等について20〜30分程の説明が行われます。

給餌後にはアンケート調査も行い、屠体給餌を実施することへの意見や感想を募った上で、これからどのように取り組みを継続していくべきかを常に考えられているとのこと。

このように、衛生面や生命倫理の観点からも非常に難しいものでありながら、社会問題となっている獣害問題に踏み込み、動物の見せ方や来園者への伝え方といった課題に対して勇気を持って解決に取り組んだ点が今回非常に高く評価されました。

エンリッチメント大賞2019

大牟田市動物園には害獣駆除を肯定・促進する狙いは全くなく、今実際に起こっている現状を伝えることを園の重要な使命として取り組まれています。

広報担当の冨澤さんは、このようにお話ししてくれました。

農作物への被害は農家さんだけの問題ではありません。

私たちが暮らす地域で共に生きる動物たちに、私たちが口にする農作物に、今何が起こっているのかを知ることはとても重要だと思います。

動物園での取り組みが、これから人と動物がどのように共存していけるのかを一緒に考えていくきっかけとなりましたなら嬉しく思います。

日頃から様々な取り組みで全国的に注目を集めている大牟田市動物園ですが、今回の受賞をきっかけにさらに多角度から注目されるのではないでしょうか。

動物園のメッセージを受け取った私たち市民も、地域や共に生きる動物たちのことを一緒に考えていけるといいですね。

大牟田市動物園の屠体給餌に関する詳しい情報はこちらから→大牟田市動物園公式ブログ

アムールヒョウにヤクシカまるごとプレゼント

大牟田市動物園では10月19日11時から、今回エンリッチメント大賞に選ばれた取り組み『Wild meǽt Zoo~駆除された動物を動物園のご馳走に~』を実際に見られるイベントが開催!

今回はアムールヒョウのポンちゃんに屠体給餌が行われるそうです。

ぜひこの機に参加してみてはいかがでしょうか。

イベントに関する詳細はこちらから→

大牟田市動物園公式サイトイベント情報

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幸森 彩香
1985年宮崎県出身。地域の魅力を可視化するフリーライターとして活動中。言葉と肉と甘いものをこよなく愛する肉食系文学女子。produced by OmutaTwinkles
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