『大牟田に多世代交流ができる居場所を』移住者芦澤香織さんの挑戦【地域交流センターちくまち】

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この度の北海道胆振東部地震で被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

一日も早く北海道に平穏な日々が戻りますことを、心より願っております。

みなさんこんにちは、ライターの幸森です。

本日は大牟田に移住してきて約1年の芦澤香織さんをご紹介します。

芦澤さんは今年の春からまちなかで『多世代交流ができる地域の居場所を作ろう』と奮闘されているコミュニティーコーディネーターです。

核家族が一般的となった昨今、世代を超えた交流のできる場所が地域に求められるようになりました。

それは大牟田にとっても大きな課題のひとつと言えます。

しかしながら時代の流れとともに衰退した地域コミュニティを再生するのは、そう簡単なことではありません。

移住者の芦澤さんはなぜ大牟田でそのような難しい課題に向き合われているのでしょうか?

そこには、

【子育て中のママならではの想い】

が詰まっていました。

移住者・芦澤さんが働く地域交流センターちくまち

恥ずかしそうにはにかみながらインタビューに応じて下さった、芦澤香織さん。

芦澤香織さん

1983年、岡山県と広島県の県境に生まれ、関西でアパレル業界に就職。

2017年5月、結婚を機に大牟田へ。現在は1児の母。

2018年4月から『地域交流センターちくまち』でコミュニティーコーディネーター(管理者)として働かれています。

大牟田駅と新栄町駅のちょうど間の築町バス停前にあるこちらは、医療法人静光園白川病院が運営する地域交流施設です。

主な地域交流施設は社会福祉法人や医療法人が運営していて、市内に46か所(2018年4月時点)存在。

地域の人と人を繋ぐ場所として活用されています。

地域交流施設とは……

地域の誰もが利用できる、地域の『集まり場・茶飲み場です。

老若男女を問わず、会話や食事を楽しみながら、地域住民同士の交流を深めていくことを目的としています。

普段は地域のために開放されているので、自由に利用することができます。サークル活動や各種会合にも利用できます。

大牟田市公式サイトより一部抜粋

業界未経験の新人コーディネーターとして

芦澤さんは2017年に移住してきてから『ちくまち』で働き始めるまでお子さんが小さかったこともあり、専業主婦として大牟田で暮らしていました。

お子さんが1歳になったのを機に仕事を探し始めた芦澤さん。

最初は、結婚前に働いていたアパレル業界に戻ろうと思っていたのだとか。

しかし子育てと両立できそうなアパレルの仕事を見つけられず、人と接することができれば違う業界でもいいかなと考えるように。

そこへタイミング良く知人から『ちくまちで働いてみない?コミュニケーションスキルが活かせる仕事だよ。』と勧められて勤めることを決めたそうです。

未経験の業界へ飛び込むことに、抵抗や不安はなかったのでしょうか?

芦澤さん:

「正直不安だらけでした。(笑)

前任者は社会福祉士で、挨拶回りに行く先々で自分の資格について尋ねられたんですよ。

でも私は何の資格も持ってないし、地域福祉の仕事なんて全くの未経験。

私でいいんだろうか?大丈夫なのかな?と毎日思っていました。

でも開き直って正直に『何も知らないんですけど、一生懸命やります!色々教えて下さい!』っていうスタンスでいくことにしたんです。

実際、地域福祉のことだけじゃなくて大牟田のことさえも全然知らないので。

そうしたら皆さんとても親切にして下さって、色んなことを教えて頂きました。」

何も知らないことを正直に打ち明けた芦澤さん。

地域の方々はその姿勢に、思わず手を差し伸べたくなったんでしょうね。

人に寄り添って繋いでいく役割

こうして地域の方から受け入れてもらった芦澤さん。

まだ勤め始めて5ヶ月ほどですが、とても未経験とは思えない落ち着きを持ち、絶妙な距離感でコミュニケーションをとる姿が見られました。

芦澤さん:

「地域の方とお話していくうちに、根本にはアパレルの仕事と同じものがあるって気付いたんです。

基本は聴く姿勢を取って、相手が何を求めているのか、どうしたいと考えているのかを会話の中で引き出していく。

そこへ私が提案するモノが変わっただけなんだなって。

私には専門知識も資格もありませんが、病院や事業所、地域包括支援センターなどとの繋がりはあります。

その中から地域の方が必要としているヒト・場所へと繋いでいくことが私の役割だと思っています。

現場ではひとりで働いているんですけど、実際はひとりじゃないんですよね。」

芦澤さんは業界に関係なく、人と接する上で一番大切な『人への寄り添い方』がわかっているのでしょう。

それはきっとスキルと言うよりも、芦澤さんの人柄であり、素質なのだと思います。

本当の意味での地域の居場所にしたい

芦澤さんに、ここ『ちくまち』をどんな場所にしていきたいと思っているのか尋ねてみました。

芦澤さん:

本当の意味での地域の居場所にしたいと思っていますね。

年齢を問わず、誰もが自由に集える場所に。

私は大牟田に身内も友達もいなくて、家庭や子育てのことを相談できる相手がいなかったんです。

でも『ちくまち』にきて地域の方と親しくなっていくうちに、子育ての悩みを聞いてもらったり、お惣菜のおすそ分けをしてもらったりするようになって。

それがとても心強くて、大牟田での生活を心から楽しめるようになりました。

私みたいなママって、大牟田に沢山いると思うんです。

そんなママたちに、ふらっと遊びに来てもらえたらいいなと思っています。」

芦澤さん:

「普段はまだ高齢者の利用が多いんですが、そこへお子さんを連れたママが来てくれると、利用者さんたちがとても喜んでくれるんです。

心が疲れてうちへ来るようになったおばあちゃんが、お子さんたちとの触れ合いの中で元気になって生き生きとした表情を見せてくれるようになったこともあります。

利用者さんがお子さんを見てくれている間、ママたちは私や利用者さんと会話して、お茶して、ちょっと息抜きしてもらって。

子どもたちにも、普段触れ合う機会が少ないおじいちゃん・おばあちゃんと接することで、社会の優しさや地域の温もりを知ってもらえたらと思っていますね。

まだまだ走り出したばかりですが、利用者さんやママたちにも協力してもらいながら、できることから取り組んでいきたいです。」

日々工夫を重ねて

『ちくまち』を地域の居場所にするためには、まず知ってもらうこと入ってきてもらうことを大切にしたいと話す芦澤さん。

芦澤さん:

「これもアパレルに共通していることなんですが、存在を認識してもらって入ってきてもらって、そこで初めて魅力を伝えるチャンスが生まれると思うんです。

だから入り口前に『どなたでもどうぞ』と書いた看板やイベント案内のボードを設置したり、どんな施設かわかるサインを掲示したり、チャンスを生み出すための仕掛けは大切にしています。

いきなり入ってきてもらうのはハードルが高いので、看板やボードで興味を引いて、目を止めて下さった方に声を掛けて。

地味なことかもしれませんが、その積み重ねかなと。」

芦澤さん:

「ママ世代にも安心して利用してもらうために、外から見えるところにキッズスペースも設置しました。

ここを訪れるきっかけとして、ママが講師をするイベントも開催して。

そこでは地域のボランティアさんがお子さんを見てくれています。

ママや子どもたちに自然な流れで地域の方と仲良くなってもらえれば、何でもない日にも立ち寄りやすくなると思うので、これも大切な取り組みですね。」

アパレルの経験とママの視点で

最近の『ちくまち』ではママたちがヨガをしていたり、地域の方々がカラオケサークルの活動をしていたり、幅広い年齢の方が楽しそうに過ごしています。

イベントに参加された方がリピーターになって、新しい方を連れてきてくれることも多いのだとか。

それは芦澤さんが日々利用者の声に耳を傾け、心に寄り添い、誰もが心地よく過ごせる空間を作ろうと試行錯誤されているからこその結果なのでしょう。

アパレルでの接客経験に加え、子育て中のママならではの視点を持つ芦澤さんが『本当の意味での地域の居場所』をどんな風に作り上げていかれるのか、楽しみでなりません。

みなさんもぜひ、芦澤さんに会いに出かけてみてくださいね。

きっと『ちくまち』はあなたの居場所にもなってくれるはずですよ。

施設情報

施設名:地域交流センターちくまち

所在地:福岡県大牟田市築町3-19(築町バス停前)

電話番号:0944-54-7009

開所日:月曜日~金曜日(祝日を除く)

開所時間:9:00~17:00

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幸森 彩香
1985年宮崎県出身。地域の魅力を可視化するフリーライターとして活動中。言葉と肉と甘いものをこよなく愛する肉食系文学女子。produced by OmutaTwinkles
大牟田ひとめぐりとは?
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