こんにちは、ライターの幸森です。
あなたの家や実家は、誰が受け継いでいくか決まっていますか?
住む人を失った『空き家』の数は年々増え続けていて、社会課題のひとつとして活用法の議論が繰り広げられています。
しかしながら所有者や修繕費などの問題から、活用は思うように進んでいないのが現状です。
そうした現状を受けて『空き家活用の前に、空き家予防の議論が必要なのでは?』と立ち上がったのが、今回ご紹介する『まちの課題解決実行委員会』の皆さん。
2019年2月9日に事業報告会を兼ねたイベントを開催されるとのことで、お話しを伺ってきました!
空き家対策に興味がある方は必見のイベントですよ!
目次
イベント詳細
イベント名:新・空き家論2
開催日:2019年2月9日(土)
時間:15:00~17:00
場所:大牟田市市民活動等多目的交流施設えるる(中研修室)
所在地:福岡県大牟田市新栄町6番地1
参加費:一般1500円、学生無料(資料代込み)
定員:60名(事前予約)
空き家は誰にとっても身近なテーマ
お話ししてくれたのは、まちの課題解決実行委員会の代表を務めている平尾元(はじめ)さん。
【プロフィール】
福岡県久留米市出身。
有明工業高等専門学校卒業後、大牟田市内に就職し現在は大牟田在住。
2013年頃から本格的にまちづくり活動を始め、様々な事業に取り組んでいる。
大牟田市の協働のまちづくり推進条例審議会副会長、総合計画審議会委員、生涯学習まちづくり推進本部幹事なども務める行動派。
まちづくり活動を始めた当初からずっと、若者の意見を取り入れることを重要視してきたと言う平尾さん。
2017年から2018年にかけて、『空き家』について若者たちと一緒に考えるイベントを実施されました。
▼イベントのレポート
なぜ空き家をテーマに選んだのでしょうか。
平尾さん:
「若者にとってまちの課題の中で一番身近なテーマが『空き家』かなと思ったんです。
みんなそれぞれの『家』に暮らしているから、全員が当事者として捉えやすいかなと。
それで2017年に『新・空き家論』というタイトルでワークショップとアイディアコンテストを実施しました。
コンテストでは有明高専と久留米大学の学生たちが7つのアイディアを発表してくれて。
その中で最優秀賞に選ばれた『KOUSEN HOUSE』が、今回のイベント『新・空き家論2』のベースになっています。」
▼最優秀賞は『KOUSEN HOUSE』
シェアハウスのアイディアから下宿システムへ
平尾さん:
「KOUSEN HOUSEは空き家を改良したシェアハウスを運営するというアイディアです。
有明高専には寮がありますが、学生数と部屋数の兼ね合いで4年生になると退寮を勧められるんですよね。
また、長期休暇中は寮が閉まりますが、レポートや卒業研究のために休暇中も通学しなければならない学生も多く、4年生からの住まいや休暇中の滞在場所は以前からの課題となっていました。
そこで空き家をシェアハウスとして活用すれば、まちの課題も自分たちの課題も一緒に解決できるのではと学生たちは考えたわけです。
それに対して審査員の田村大氏(株式会社リ・パブリック共同代表)から
『空き家予防の視点を加えて次世代タイプの下宿を作ってみては?その方がオーナーとの交渉もしやすいはず。』
という旨のコメントを頂きました。
確かに空き家の活用に比べて予防策の方が実施へのハードルは下がりますよね。
そこで様々な方にご協力頂きながら、下宿システムの実現に向けた調査を実施してみようと思い、今年度の事業へと移りました。」
▼2017年アイディアコンテストの集合写真
下宿システムの実現に向けて
アイディアコンテストの実施から約4ヶ月後、まちの課題解決実行委員会は大牟田市との合同会議を実施。
その後公民館の館長や学生たちへのヒアリング、空き家に関する情報収集など、着々と実現への準備を重ねてきました。
そして、アイディアコンテストで審査員を務めた正木哲さん(有明高専)の研究室が、共同研究として実地調査を引き受けることに。
今回、正木さんにもお話を伺いました。
【プロフィール】
熊本市出身で現在は福岡市在住。
有明工業高等専門学校 創造工学科 建築コース助教。
大牟田市居住支援協議会委員、大牟田市空家等対策協議会副会長、街なかストリートデザイン事業推進委員副委員長などを務めている。
平尾さんとは同世代で、有明高専では2016年から勤務されているのだそう。
研究室では、地域産木材を利用する地域環境時代の新しい木造住宅工法の開発研究を行われています。
正木さん:
「共同研究の依頼を受けて、学生たちと一緒に本校周辺にお住まいの方々や学生にインタビュー調査を実施しています。
建築の学習は座学だけじゃないんですよね。
まちに出て課題や必要なものを見つけて建物を考えないといけないので。
ただ本校は市外・県外からの学生が多いこともあって、学生たちが大牟田についてあまりよく知らない現状があります。
地域が通過点になってしまっているんです。
だから今回のような実地調査に携わることはとても大切なことで。
リアルな体験によって、授業でインプットした知識をより深めてほしいですね。
糸島では空き家活用のシェアハウスが学生の手で運営されていますし、京都では空き家予防と下宿システムを掛け合わせた『京都ソリデール事業』が実施されています。
本校近隣で実現するためには何が必要なのか、課題の抽出まで行うのが今回の調査の目標です。
2月のイベントでは調査結果を報告しますので、楽しみにしていてください。」
【参考サイト】
まちの課題を学生が解決する『仕事』が生まれたら
昨年度行われた『新・空き家論』のアイディアコンテストを受けて実現への検討を続けてきた今年度の事業。
2月9日(土)は事業報告会後に専門家による講演会と、パネルディスカッションを予定しています。
そこで実現への道が開かれれば、さらに来年度は実際に下宿の開設にチャレンジしていきたいと平尾さんは言います。
最終的な着地点はどこに見据えているのでしょうか。
平尾さん:
「この事業の目的は“学生と高齢者の相互見守りを実現する”ですが、最終的には“学生起業のイメージ”まで作れたらいいなと思っています。
起業と言っても会社を作るみたいな話じゃなく、事業を創り出して“対価を獲得する手段”を発見する機会を得てほしいなと。
自分の生活を経済的に支えることは生活の基礎ですからね。
僕は有明高専を卒業して大牟田市内に就職しましたけど、かなりレアなケースなんですよね。
大抵は市外・県外で就職してしまうので。
もったいないじゃないですか、せっかく大牟田に縁を持ってくれたのに。
専門的な知識を活かせる就職先が大牟田に少ないという意見もありますが、ないなら作ればいいと僕は思っていて。
学生のうちに仕事を自分で作り出せたら、5年間の通学で慣れ親しんだ大牟田に愛着を持って定住してくれるかもしれません。
だから今回の事業をきっかけに、地域で仕事を作る視点が少しでも芽生えてくれたらいいなと。
学生たちがキャリア教育の一環でまちの課題を解決しながら事業を創出して、そこで得た対価で学費を自分で払えるようになる、とか。
自分がやりたいこと、できること、自分の生活を経済的に支えること、それを誰とやるのか……そんなことを考えてほしいんですよね。
結果として仕事にならなくてもいいんですよ。だって学生だから。
社会人になってしまってから起業するのは、ハードルがグッと上がるじゃないですか。
準社会人的な立ち位置だからこそできるチャレンジを、遊びのような感覚で楽しんでほしいんです。
遊びは最大の学びですからね。」
一般財団法人に勤めている平尾さんは、休日や退社後の時間を使って様々な活動に取り組まれています。
自身の活動が仕事になればもっと本腰を入れられるのにと葛藤することも少なくないのだとか。
そんな平尾さんだからこそ、学生の事業創出を応援したい気持ちが強いのかもしれませんね。
2月9日は見どころ満載の3部構成
2月9日に開催される今年度のイベントは3部構成。
1部(15:00~) 事業報告会
『ゲシュクシステム検討・開発事業』
有明工業高等専門学校 正木研究室
2部(15:30~) 講演会
『空き家予防策としてのシェア居住の可能性について』
国立大学法人佐賀大学 理工学部都市工学科准教授 宮原真美子氏
3部(16:15~) パネルディスカッション
『天の原校区での次世代型下宿の可能性について』
学生さんたちによる実地調査の報告はもちろんのこと、専門家による講演会や地域の方を交えたパネルディスカッションなど、見どころ満載ですね!
空き家活用のアイディアコンテストから約1年が経って、どのような可能性が見つかったのか、そしてこれからどう動いていくのか……
今後ますます深刻化が予想される空き家問題を解決・予防するヒントがここにあるのかもしれませんよ。
興味が湧いたあなたはぜひ会場に足を運んでみてくださいね。
新・空き家論2
開催日:2019年2月9日(土)
時間:15:00~17:00
場所:大牟田市市民活動等多目的交流施設えるる(中研修室)
所在地:福岡県大牟田市新栄町6番地1
参加費:一般1500円、学生無料(資料代込み)
定員:60名(事前予約)
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