地元大牟田で鶏料理屋「乾杯大牟田」を運営されている猿渡昌嗣さん。東京で約10年間料理の修業期間を経て、地元へUターンして起業。地元である大牟田、ルーツである長渕剛さんへの想いを聞きにお話をお伺いしました。
「東北の復興」と「大牟田の再生」
「本日はよろしくお願いします。まずはお店のコンセプトを教えてもらっていいですか?」
「日本一の鶏である東北の秋田比内地鶏を九州で初めて専門店として取り扱ってます。長渕剛さんが大好きでお店のBGMで流したりしてて。「東北の復興」と「大牟田の再生」をスローガンに掲げて、きりたんぽ鍋や比内地鶏を提供しています。」
「元々料理を始めたキッカケは何だったんですか?」
「全然料理なんてやりたくなかったんですよ笑。アンディーフグさんが大好きで、K-1選手になろうと思って高校を卒業して東京に出て。食べることが好きだったんで、料理の専門学校に行きました。卒業後、吉兆でお料理の楽しさ美しさを教えて頂き、鶏料理専門店今井屋で食のノウハウを教えて頂きました。鶏を選んだ理由は筋肉に良いからですね。格闘技をやっていたので。
東京で料理の修業をしてて辛い時は長渕剛さんの曲をよく聴いてましたね。「乾杯」とか「やるなら今しかねえ」ていうフレーズが有名な「西新宿の親父の唄」を聴いて励まされてました。」
「料理なんてやりたくなかったなんて、初めからインパクトが強いですね笑。自分でお店をやろうと思ったきっかけとかはあるんですか?」
「最初は26歳でやろうと思ってました。でも、26歳になったらやっぱりちょっと足りないなと。じゃあ来年やろうと決めて。でも27歳になったときも決断できなくて、ちょっとズルズルしてしまってました。
そして28歳になったときに、よし!自分でお店出すぞ!と思ったときに流れ星がバババー!っと流れたんですよ笑。マジでビックリして笑。そのときに、やろう!と決めましたね。」
「東京でも流れ星流れるんですね!それが猿渡さんの決断を後押ししてくれたんですね。それからお店をやると決めてどう動かれていったんですか?」
「まずはお店をどこでやろうかと考えました。そのときに、地元はどこだと思って。まずは、大牟田だと。でも、正直怖い部分もありました。人も減ってきてるし、その中でどう戦っていこうかと。低価格の勝負をするか、高級焼き鶏屋として勝負するか。考えていたんですけど、気付いたら大牟田に比内地鶏を持って来てしまってた笑。身体が先に動いてしまってて。それで、九州初の比内地鶏専門店が大牟田にできました。鶏のお尻の穴まで食べれるのはうちだけですね笑。」
「猿渡さんは格闘技されてたんで、勝手に身体が反応してしまうんですね。でもなんでお店は比内地鶏専門店なんですか?」
「それはお店のコンセプトでもある「東北の復興」ですね。東京に居たときに震災を経験して、料理人として何ができるのかなと。
東北に実際に行ってみて、現場を自分の目で見ました。その中で自分のやることは「再生」だと。大牟田の街に再生という言葉がフィットするんじゃないかなと。「東北の復興」と「大牟田の再生」。これが一つのスローガン。大牟田にどう立ち向かうかと。長渕さんが好きだったんで、半分お店の中に長渕さんを入れようと。
お店の中で長渕さんの曲は流したいなと思ってて。お店のスローガンが再生ということで、大牟田の再生には何が必要かなと。大牟田には乾杯が必要だなと思いました。そこでお店の名前が決まりました。
乾杯大牟田
なので、乾杯が流れたらドリンク半額にしてます笑。」
こちらには長渕剛さんの「乾杯の絵」が飾ってあります
九州の「絆」を感じた長渕剛オールナイトライブ
「お店はいつオープンされたんですか?」
「オープンしたのが2014年12月で、1、2月はお客さん少なくて、これが現実なんだと思って。そこで、頑張ってHPやSNSを使ってPRしたらお客さんに熱意伝わって来てもらえるようになりました。長渕さんが好きだから来てくれる方もいらっしゃって、全国からお問い合わせをいただけるようになりました。長渕さんのファンは情熱的な方が多いので。」
「情熱的な方が多いんですね。猿渡さんとお話してても、情熱がビシバシ伝わってきます。そういえば、この前の長渕さんのオールナイトライブに出店されてましたよね?あれはどういう経緯で出店されるようになったんですか?」
「オールナイトライブの出店のメールが届いてて、富士山、長渕剛の24時間に耐えれるかという内容で。その時マッサージを受けてて、 ぼーっと見てて気付いたら応募しちゃってたんですよ笑。その後、長渕事務局に大牟田の状況を伝えました。世界遺産のこと、世界遺産の富士山と大牟田の世界遺産のことをダブルアピールしたいと。そしたらOKもらって、そこから動き始めました。全国の人たちに感動を届けられたらなと。」
「気付いたら行動してしまっていたという行動力すごいですね。当日の様子はどうでしたか?」
「全国各地から九州出身の方が来てて、その人達からありがとうと言っていただけました。本当にいろんなひとたちが来てくれて。九州のひとたちが一つのチームみたいになってて、絆を感じました。大牟田から来た人達は大蛇山Tシャツきてたりして笑。」
オールナイトライブ当日の様子
「その後、市長に表敬訪問されてましたよね?」
「長渕さんが静岡県知事に表敬訪問されてたのを見て、俺も富士山に出店するから挨拶にいこうと思って市長に会いに行きました。当日はすごい緊張してスーツを破ってしまったんですよ笑。表敬訪問とご報告をさせてもらって、自分の中で良い経験になりました。これが始まりで、日本全国各地に出来たらいいなと思います。」
「お店だけでなく、いろんなことにも取り組んでいらっしゃるんですね。遊び心を持ちつつも、接待のお客さんに対応できるようにされているんですよね?」
「そうですね。長渕さんの乾杯が流れたらドリンク半額とかは遊び心ですね。僕の中で煙でもくもくしない焼き鶏屋が一つのイメージ。焼き鶏屋さんてもくもくしてるじゃないですか?そのイメージを変えたいなと思って、それが接待ですね。なので、接待で使えるようなコース作りをしています。全部作業場で焼いてお客さんへ届ける。そして3分以内に食べてもらうことがこの比内地鶏の醍醐味。比内地鶏は日本一の鶏なので。」
「日本一の鶏である比内地鶏を大牟田で食べれるんですね。東京で流れ星が流れてなかったら大牟田でこの比内地鶏が食べれなかったかもしれないんですね。」
「下北沢の上で流れ星が流れたことで自分の中でスタートしましたね。そのときに涙が出て、呼ばれているのかなと。今まで流れ星なんて見たことなかったので。起業するにもどうしたらいいのかわからない、自分の中で走れない部分があったんですね。そこで止まってしまっていて。そのときに流れ星が流れたから良かったんでしょうね。」
「流れ星が流れたときも起業について考えていた猿渡さんの強い意思があったからこそ、今こうやってお店を経営されていらっしゃるんですね。今後お店をどういった方向性で進めていきたいとお考えですか?」
「今後は、より一層美味しい鶏料理を提供していきたいです。地域の方達と一緒に大牟田の食文化の向上を目指して、乾杯大牟田は頑張っていこうと考えています。」
「お店に関するエピソードをたくさんお話頂いてありがとうございます。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。」
やるなら今しかねぇ!と猿渡さん
取材を終えて
今回の取材は猿渡さんの行動力に驚かされました。悩んでいる中で気付いたら身体が動いていたという猿渡さん。遊び心を持ちつつも、着実にお客さんを増やしていっている乾杯大牟田。お店を運営するにあたって参考になる点が非常に多いお店だと思います。一歩踏み出すことができなくて悩んでいる方はぜひお店に行かれてみてはいかがですか?猿渡さんのとても素敵な人柄を生で感じましょう!
お店情報
電話番号:0944-57-5277
住所:福岡県大牟田市本町2-3-6
営業時間:
ディナー 17:30~00:00 (L.O.23:30)
【平日・土・祝・祝前】
ランチ 11:30~14:00
定休日:不定休